「五感」を研ぎ澄ますと、食の豊かさが広がる

私たちの心の動きが無意識のうちに「五感」に導かれていることをご存知ですか?

私たちは、自分たちが思っている以上に五感に大きな影響を受けています。
逆を言えば、五感を上手に使えば自分自身に良い影響を与えることができる、ということです。
青い空を見上げて感動したり、澄んだ空気をおいしく感じたり、水がせせらぐ音に清らかさを感じたり、生き物に触れて命のぬくもりを感じたり。
すべての「感じ」はあなたの心と体の中にあるものですが、自ら感じようとしなければ意識されないもの、でもあります。

それは、「食」に関しても同じこと。ものを食べるとき、私たちは「五感」を通していろいろな感じ方をしています。
五感を研ぎ澄ませ、そして感じることで、苦しくなってしまった「食べること」が再び色合いを取り戻し、
あなたの心と体に喜びを湧き上がらせ、そして生きている実感を届けてくれるでしょう。

食を左右する五感とは?

  • 味覚・・・味、熱さ、冷たさ
  • 嗅覚・・・食物の匂い、食器の匂い
  • 視覚・・・料理の見た目、器とのバランス、器の素材感
  • 触覚・・・肌合い、手触り、指触り、熱
  • 聴覚・・・調理音、耳障り

「目で食べる」すすめ

料理の味は手を付ける前の見た目で決まる!?

食器との調和で食欲がみるみる増してくる!

「食べたい」という欲求を刺激するのは、
料理そのものだけではありません。

例えば、器。
食器と、それに盛られた料理との「調和」が、
私たちの食欲をそそってくれます。
「視覚が味の8割を左右している」とも言われるほど、
見た目というのは大事なのです。

日本料理は「皿まで食らう」といわれるほど、
日本人の持つ繊細な感性がそこに表現されていると思いますが、
それだけ私たちは素晴らしい感性を持っていると言って良いでしょう。



盛り付け次第で「これならいける」気分に

食欲がないときは、盛り付け量を少なくして
「これくらいなら食べられるかも」
と思えるようにするのが良い作戦。
あふれるほど器に盛るのではなく、
控えめに、器の余白の美を生かして盛り付けると、
簡素でありながら料理を優雅に演出してくれます。

なお、円い洋皿に少量を上手に盛り付けるのはなかなか難しいので、
和食器の長皿や小鉢を使うのもおすすめです。
食事は毎日のことですから、
普通のメニューを簡単に盛り付けられる食器の大きさや形を選びたいですね。

「白」と「緑」で見た目にやさしいお食事タイムを

白釉の器には、誰もが親しみやすいほのぼのとした温かさを持っています。
どんな料理や素材の色合いも大らかに包むやさしい「白」は、
すなわち、どんな料理もおいしそうに見せてくれるのです。

また、「緑」は寒い冬を越えた後に訪れる春を象徴する色であり、
待ちわびた色、新鮮さや始まりといった
“生命力”を一番にイメージさせる色です。
日本において安全や衛生の象徴として用いられる「緑十字」からも想像されるように、生命を守る安全そして安心の色と言えるでしょう。
健康や食欲にプラスのイメージを与え、
リラックスさせてくれる色と言われており、
食事のシーンにこのカラーを取り入れることで食欲増進に役立てたいものです。


「触感で食べる」すすめ

口で触れ、手で触れて食欲は変わる

口から食べる、それが生きること

特定の栄養素や成分が注目され、
その“切り取られた”情報ばかりがテレビや雑誌をにぎわせていますが、
「食べることに喜びを感じること」を置き去りにすると、
生きている喜びが置き去りになってしまうような気がします。

病気をして食欲がなくなったとき、
なぜ「点滴や栄養剤には頼りたくない、
少しでも口から食べたい」と思うのでしょうか。
単に栄養素や成分を体に摂り入れるだけではなく、
口から食物を「食べる」ことが生命力につながることを、
私たちの本能が気付かせようとしてくれているのかもしれません。



磁器より陶器でぬくもり感じる食事を

がんの治療中で食欲不振のとき磁器を使いたくなくなった、
という声をたびたび耳にします。
それまでは何でもなかった食器の質感に
突然嫌悪感を抱くとは不思議に思えますが、
それは単に、今までは質感から受ける印象に気付いていなかっただけ、
かもしれません。

質感には、見た目の質感のほか、手触り、肌触り、口触りなどがあります。
見た目の質感は、陶器がやわらかさや温もりといった
印象を受けるのに対し、
磁器はガラスのように光った感じや冷たい印象を受ける人は多いでしょう。
また、陶器は実際に熱伝導率が低く熱が伝わりにくいので、
熱伝導率の高い磁器と違って不快な熱さや冷たさを
感じることもありません。

茶道の抹茶椀に必ず陶器を使うのは、
熱いお茶を淹れた器でも手で包み込めるから、というのはもちろんのこと、
陶器のやわらかな質感自体がお茶の世界を表現するために
大事にされてきたのだと思います。
食器を手にとって食事をする、という食文化の伝統があるからこそ、
食器の質感を大事にし、
手のひらから伝わる“感じ”をしっかり受け取りたいものです。

手で食べると、なぜか美味しく感じる不思議

「手食」(手づかみで食べること)では、
食材の温度や感触が手から脳に伝わるため、
箸やスプーン等を使うよりも情報量が増え、
より美味しく感じると言われています。
食欲不振時におにぎりやお寿司、サンドイッチなどが好まれるのも、
単に手軽なメニューとしてではなく
少しでも美味しく食べるために、
手を使うことを本能が誘導している結果(?)かもしれません。

ときには庭先やベランダに腰掛けて、
子供の頃の遠足のように空や空気、季節を感じながら
おにぎりやサンドイッチを手で食べてみてください。
ちょっと環境を変えてみること、五感を研ぎ澄ませながら食べることを
ぜひ、体験していただきたいと思います。



厚みのある器が食べる喜びを促進

磁器は石が主原料なので重いことと、
強度もあることから薄手に作られるのに対し、
陶器は土を主原料にしており、厚手のものが多いのが特徴です。
食器の厚みから受ける印象は、薄手のほうが涼しげで繊細、
あらたまった感じ。
一方、厚手の器は温かみがあって豪快、身近な感じを与えるのだそうです。

和食は直接手にとって口へ運ぶ料理が特徴なので、
器は持ちやすく、口当たりの良いのものが好ましいと言えます。
陶器なら、手に取ったり口につけたりしたとき、
その厚みや土のぬくもりがしっかりとその存在感を伝えてくれるはず。
陶器が日本食に調和するということに、
あらためて気付かされることでしょう。

「香りで食べる」すすめ

無意識下の匂いを取り入れる

自覚できない匂いが食欲に影響を与えている?

食器の素材の匂いは自覚できなくても、
何となく匂いを感じることはありませんか?
例えばプラスチック容器。
入院すると食欲がなくなるというのは良く聞く話ですよね。
病院食も近年ではとても工夫が凝らされ、
美味しい食事の提供に力が注がれているのに、
残念ながら食器は強化プラスチック製のまま、
という病院が多いのが事実です。
このことが、入院時の食欲低下に実は影響を及ぼしているのではないかと思います。

嗅覚は、常に自覚できる匂いだけを感じているわけではありません。
私たちは自覚できる範囲外の匂いを食器から捉え、
それに嫌悪感を示している可能性があります。
食欲不振のときに陶器の食器を選びたくなるのは、
陶器が土の香りを漂わせて自然を感じさせてくれるから、
なのかもしれませんね。


「音で食べる」すすめ

不快な音は食欲不振のもとになる

食器とスプーンがぶつかる音も食欲に影響

陶器は主成分が粘土で「土もの」、磁器は主成分が石で「石もの」です。
どちらも釉薬を使った焼きものですが、陶器は比較的低い温度で焼くのに対し、
磁器は高い温度で焼いているので、素材感以外に見た目の質感の違いが生じます。

器の縁を指で弾いてみると、陶器はコツコツといった低い音ですが、
磁器はピンピンとかカンカンとか金属製の高い音がしますよね。
食器とスプーンがぶつかる音が耳障りにならないようにすることも、
些細なことのようですが、食べることを心地よくしてくれる大事な要素なんです。



陶器と木製スプーンの組み合わせが○

食欲不振のときは、アイスクリームやゼリーなど、スプーンを使うメニューが好まれます。
陶器と木製スプーンは共に音がやわらかく、美味しさを邪魔することがありません。

冊子のプレゼントは定数に達したため終了いたしました

沢山のご請求、誠にありがとうございました。