五感と、食欲と、おいしさの関係

思った以上に五感の影響を受けている

私たちは、自分たちが思っている以上に五感に大きな影響を受けています。

逆を言えば、五感を上手に使えば自分自身に良い影響を与えることができる、ということです。

青い空を見上げて感動したり、澄んだ空気をおいしく感じたり、水がせせらぐ音に清らかさを感じたり、生き物に触れて命のぬくもりを感じたり。

すべての「感じ」はあなたの心と体の中にあるものですが、自ら感じようとしなければ意識されないものでもあります。

それは、「食」に関しても同じこと。

ものを食べるとき、私たちは「五感」を通していろいろな感じ方をしています。

五感を研ぎ澄ませ、そして感じることで、苦しくなってしまった「食べること」が再び色合いを取り戻し、ささやかでも心と体に喜びが湧き上がって欲しいと願っています。

器が食欲を刺激する

「食べたい」という欲求を刺激するのは、料理そのものだけではありません。

例えば、器。
器と盛られた料理との「調和」が、私たちの食欲をそそってくれます。

日本料理は「皿まで食らう」といわれるほど、器との調和が重んじてきた日本人の持つ繊細な感性がそこに表現されていると思います。

健康な時はどんな器でも食べれるのですが、食欲不振のときこそ器との調和を意識して見た目を美しく見せてみてください。美味しさは舌だけで感じているのではないことを実感していただきたいと思います。

五感食のすすめで伝えたいこと

がん治療などの影響で食欲不振が続くと、「食べなければ」という本人の気持ち、「食べてほしい」という周囲の気持ちが焦りや不安となって渦巻きます。生きることが当たり前ではないという衝撃が不安や焦りとなり、「命と食」を強く結び付けるからだと思います。

しかしどんなに状況でも、食べることを燃料補給のような無機質なものにはしたくないものです。心と体の満足につながる食べ方を諦めないことが、生きている実感を与え、明日に続く活力を生むのではないかと考えます。

健康なときには食欲だけで食べられますが、食欲や味覚が変化している時は豊富な食材やメニューがあっても食べたい気持ちにするのは難しいものです。

食欲不振のときこそ、もともと自分が持つ五感を意識し、五感が心地よい食べ方を探ることが大切なことではないか考えます。

五感食のすすめ
・五感食とは、五感が心地よい食べ方であること
・五感食とは、喜びがある食であること
・五感食とは、普通の食であること

今の喜びを感じて食べる

食べないと、食べないと、食べないと…

がんなどの病気や心配事で食欲がない時は、健康回復のために薬のように食べることを頑張ってしまいますね。食べる喜びは影を潜め、食べ物を目にしても、見えていないかもしれません。

しかし 落ち着いて目の前の食事をよくみると、色々なひとの手を介してここまでたどり着いた材料がメニューとなってあなたと出会っていると考えると、なんだか不思議な感じがしませんか? 毎日毎日、全国、全世界の人とつながっているとも言えるかもしれません。

また、太陽、雨、風、寒さ、暖かさ、暑さ、山、川、海、空、知らない地域の自然まで感じると、大自然の恵みが食卓にあるように思えてきます。

食べることに喜びを感じること。

食べる前から喜びはそこにある。

それを感じるには意識することが必要かもしれません。

味が薄く感じるときは

がん治療の影響で「味が薄く感じるようになった」という方がいます。でも食べやすいものを聞くとさっぱりした物が多く、必ずしも味の濃いものを好んでいるわけではないようです。

さて、実は味の濃さは見た目で変化するのです。「濃く見える=濃く感じる」と言う訳です。

また色鮮やかさによって食材の新鮮さを感じたりしますね。この見た目の濃さを上手く使わない手はありません。

ではどうすればいいのでしょうか・・・? そうです。食器の色です!

味が薄く感じるときは、白系の器を使ってみてください。食材の持つ色を邪魔せずに放ってくれるので、色合いが濃く見えて、その効果で味を濃く感じさせてくれます。

食欲不振の時こそ五感で食べる

食欲不振がなかった頃はコンビニのお弁当だろうが、テレビを見ながらだろうが、お腹が空いていなくても間食してしまったり、そんな経験はないでしょうか? 私たちは生まれた時から五感を持ち合わせていたのに、それを意識することが少なかったのだと思います。忙しい日々の中では、五感は特別なゆったりとした時間の代名詞的な存在になっていたのかもしれません。

でも大丈夫です。私たちはちゃんと五感を持っています。病気やけがをして、あらためて健康の大切さや普通生活の尊さを実感するように、五感の素晴らしさも実感できると思います。

もともと五感はこういった事態になったときに体と心を守る(護身)のために備わっていたのではないか?とさえ思うのです。自分の体の中にある素晴らしい仕組みを研ぎ澄ませて、そのために五感が心地よい ちょっとした工夫をして、食べることに喜びを感じて欲しいと思います。